9/30/2024

七面鳥

土曜日、海の街まで家族に出掛けていた時、夫のお父さんから電話がかかってきた。お義父さんは夫にこう言った。

「シャウナ(お義父さんの隣人)が、”小さめの七面鳥が欲しいなら、うちの家で育てた七面鳥をあげるからうちにおいで!うちで吊し上げて、喉をナイフで切って血を全部出し切るんだ。その後に釜で茹でた熱湯に放り込むと羽が綺麗に取れるんだよ!”って言ってる。七面鳥、欲しいか?」

もちろんうちらは、「欲しい!」と言った。私は単に七面鳥はあまり間近で見る機会がほとんどなかったので、あの変だけどお茶目な顔を見たかった。昔七面鳥を間近で見た時、変な顔だけど、あのつぶらで優しい瞳が印象的だった。この七面鳥は穏やかで人懐っこかった。

翌日義実家まで行き、歩いて隣にあるシャウナさんちに行った。シャウナさん、めっちゃ面白い人だった。シャウナさんちに行くまで、夫は、「家に大量に肉はあるし(1ヶ月ほど前にムースを仕留めたし、今年の初夏に鮭も40匹ほど獲れた)、生きてる動物を殺すのって嫌だなぁ。。」と言った。息子と私は、「なら七面鳥を生きたままもらってきて、家で飼おう!」と提案した。夫は、「好きなようにしたらいいよ」と言った。うちの鶏とやぎの囲いは大きいので、七面鳥も悠々自適に生活できる。寒さに関してだけ心配だったけれど、ネットで調べたら、極寒のミネソタでもヒートランプをつけることなく七面鳥は元気に暮らしているとのことだった。

シャウナさんに、「七面鳥を生きたままもらって帰りたい。ペットにしたい。」と話したら、「好きなようにしたらいいよ!」と言った。でもシャウナさんがこう言った。「別にもうちょっと大きくなるまでうちで育ててもいいんだよ。それから絞めて食べてもいいし。ただね、ペットにしたいなら、4月になったらフィードストアで七面鳥のヒナを買って育てた方がいいよ。私は鶏より七面鳥が好きなの!人懐っこいし、もちろん性格も一羽ずつ違うしね。可愛いよ。でも、うちのこの七面鳥はもう野生みたいなもんだから、全然懐いてないからね!あと、自宅の鶏の囲いにはネットで天井を囲ってある?七面鳥はスプルースの木を止まり木にして夜寝るんだよ!羽をクリップ(切る)しないと飛んで逃げていくよ。うちの野生な七面鳥なんか逃げたら絶対に帰ってこないからね!あと、よく鳴くよ。」と言っていた。

うーん、懐いてる七面鳥なら羽を切らなくても自宅付近でウロウロして、ちゃんと夜になったら囲い付近に帰ってくるだろうからいいけれど、一日中あんなホロホロホロホロと大声で鳴いていたら近所の人の迷惑になるので、これはダメだなと思った。あと、七面鳥ってほんと半端なくデカい。デカいのは知ってたし、アラスカの生き物はなんでもデカいけど、七面鳥がほんとにデカくてびっくりした。これに餌をあげるのって結構お金がかかりそう。鶏よりもプロテインが必要らしく、七面鳥用、もしくはゲームバード用(雉とか?)の餌を買わなければいけない。群れで暮らす動物なので、一羽だけで育てるのは無理だから、二羽一緒に育てなければいけない。色々と面倒だな、という結論に達した。うちにはすでに大量のファームアニマルがいて、今でさえ世話が大変だ。これ以上家事を増やしたくない。

シャウナさんが七面鳥に関して興味深い話をしてくれている最中、シャウナさんが突然こう言った。「あらやだ!!うちの七面鳥、マスターベーションしてるわ!!ウフフ!!」はっとみんなが見た方向には、大きな七面鳥が羽をばたつかせてお尻を振っていた。お義父さん、夫、私のみんなはそれに大爆笑していた。そんなそばで息子は七面鳥を飼う夢を必死に語っていて、マスターベーションの会話も七面鳥の姿も逃してしまった。今日のハイライトだったのに。

マスターベーション中の七面鳥(左)。

そして会話の途中でまたシャウナさんが手を口に添えて秘密めかしたようにこう言った。「いや、それがさ、七面鳥のオスって、結構強姦しちゃうんだよね〜!!」うちらまた大爆笑。

あと、シャウナさんもうちのやぎと同じ種類のやぎを以前飼っていたらしく、「あんたもやぎ飼ってんの?あんたも相当クレイジーだね!!ウフフ!!」と言ってくれた。最高の褒め言葉だ。

お義父さんとお義母さんの家にシャウナさん宅から帰ってきた時、お義母さんがうちらにこう聞いた。「で、七面鳥はどうなったの?シャウナの農場はどうだった?」夫がすかさず、「七面鳥のオスがマスターベーションしてるの見て面白かった!あと、シャウナは多分小声で言ってるつもりなんだろうけど、”七面鳥のオスって、強姦しちゃうんだよね〜〜!”って小声で話すフリをしながら、結構な大声で話しててさ。それに笑った」お義父さんも笑いながら、「ほんとそう!あんな言葉を結構大きな声で話すからさぁ、孫がそばにいるもんだからハラハラしたよ!!」みんなの心にはシャウナさんの下ネタが一番の思い出となって残っているようだった。もちろん私の心にも。

結局シャウナさんの七面鳥を全部買い取りたいと言っている人が離れ島にいるらしく、それならその人が今度こっちに来る時に買い取ってもらいなよ、ということで七面鳥を絞めることもペットとしてもらうこともしなかった。七面鳥の面白い話を聞けて、みんな大満足だった。