前回のポストでコーヒーメーカーのことを書いたが、それと追加でどうしても書きたかったことが!私は在米トータル15年になるのに今でも歯のフロス(floss)とミルクフロス,(froth) のスペルが怪しくなる!喋る時はスペリングをしっかり頭に浮かべて、正しく発音するように気をつけている。これは私個人が音声記憶よりも視覚記憶が能力的に強いというのが関わっているせいだとは思うが、スペリングを知っているというのは強みになる。
つまり、スペルがあらかじめ分かっていない単語となると、RなのかLなのか、AなのかUなのか、SなのかTHなのか全く分からない。たとえば、息子が解剖学に興味を持っていて、pericardium(心膜)のことを熱心に説明してくれたのだが、私は、「ぺ。。。ぺらかーでぃあむ?!何それ??」と混乱した。英語はmorphology(形態論、つまり言葉の意味)に関する知識があれば新しく出会う単語でも理解できる。簡単にいうと、日本人が漢字を見るだけでその言葉の意味が大体分かるのと一緒だと思う。
私は言語学には詳しくないが、英語では形態論が読み書きに大きく影響するのは自分の職業柄よく分かっている。アメリカでいう「国語」にあたる英語の授業も、もっと形態論や文法の構造に則った英語のカリキュラムに力を入れないと、読み書きが不自由な子どもたちが増えてしまうと思う。
英語はラテン語やアングロサクソン、ギリシャ語などから派生してできた言語である。形態論から言うと、「ペラカーディアム」という単語は聞くだけで、カーディ = Cardio(心臓)から来てると思われ、心臓系のことを言っているのはわかる。今調べると、peraはラテンで、per (through) + ad (to)がくっついた言葉らしい。ここで英語の形態論をある程度知っていれば、ペラカーディアムという言葉が「心臓を通って」というような意味合いであることがわかる。でもでも、日本人の私は、「ペラカーディアム」の「ら」がRなのかLなのかまず最初に聞いた時にわからない!つまり、形態論を知っていたとしても通用しない。RとLの音の違いが分からないのは普段からちょっと厄介だ。
ここからがブログのタイトルの答えになるのだが、とりあえずよく知られている通り、SとTH、RとLは日本人にとっては本当に難しい!もっと言えばAとUの違いを聞き取るのも難しい。Disclosure(self-advocacy、もしくは心理教育と言って良いかも)として私はいつも同僚に「日本人の赤ちゃんは生後一歳を過ぎると英語のRとLの発音の違いが分からなくなるんです。一歳前までにRとLの音を聞いて、脳内のニューロンがこの音の違いを聞き分けるパスウェイを作らないと、二度とこの音の違いを判別できなくなるんです。この言語の臨界期前に日本で生まれ育った私は、RとLの違いがわからないんで、間違えて発音することもスペルを間違えることもあると思うけど宜しくお願いします」と言っている。
ちなみにリサーチによると、日本の乳児(生後6〜8ヶ月)はRとLの音の違いを聞き分けられるのだ。一歳を過ぎる頃になると、この判別能力がどんどん落ちていく。バイリンガル育児はこの頃から始まっていると言っても過言ではない。ただ、私の経験からは小学校低~中学年くらいに日本からこちらに引っ越してきた子どもたちの発音は数年以上こちらで暮らしているうちにネイティブレベルになっているように思う。
英語の発音に関しては、日本人はものすごく自意識が高く「自分は発音が悪い」と自虐的に話しているのをよく耳にするが、ここで私は声を大にして言いたい。ネイティブの人と同じような発音で喋れないということは、つまり自分は母国語として他の言語を喋ることができる、という素晴らしい証なのだ。つまり、自分はバイリンガルということであり、誇りに思うべきことなのだ。もし自分の英語の発音をバカにするような人がいれば、「じゃあ、あなたは英語以外にどんな言語を喋れるんですか?きっと何ヶ国語も喋れるんでしょうね、ぜひ教えて下さい!」とにっこり聞いてあげれば良いと思う。私が今の職に就くにあたって、アラスカの歴史やアラスカ先住民の授業を二科目取らなければいけなかったのだが、その中の授業でアラスカ先住民の人が書いたこんな一文があった。「みんな私の英語にアクセントがあることを羨ましがる。なぜなら私が他の言語を操ることを知っているからだ」。
同僚であり友達でもある言語療法士とは発音、英語、日本語の話題などでよく盛り上がっている。同僚の皆さんはほぼ全員親切なので、私がRとL(他にも色々!)を聞き取れないことを話すと、「へー!そうなのね〜。人間の脳って面白いわね!いやいや、二カ国後喋れるなんてすごいわよ。私なんて英語だけよ!」と言ってくれ、英語の発音の間違いやスペルの間違いを揶揄されたことは一度もない。みんな気を遣ってくれているのか、間違いを指摘してくれないのはちょっと残念だけど。。遠慮を知らない夫からはいつも間違いを指摘される😆
我が家の木こりボーイズ。木の外皮に宿って木を殺してしまう害虫、スプルースビートル、がいるのだが、この害虫に侵された木(所謂クリスマスツリー)を切り倒して薪にする。息子は斧やチェーンソー、重機など細部が細かく動くものが大好きで木こりが趣味になっている。 |